下記は、廃棄予定のパソコンの中に書きかけで残してあった文章を完結させたものである。
時系列としてかなり前のことになるが、ご容赦願いたい。
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1月30日の21時台のNHKニュースで興味深い”詩”が紹介されていた。
故・吉野弘さんという方の「祝婚歌」という詩である。
タイトルから推測される通り、結ばれる二人に贈られることの多い詩である。
しかし読んでみると、誰にでも通用する内容にも思える。
文中に登場する「二人」、というのを必ずしも配偶者同士と決めつける必要はない。
自分と友人、自分と会社の同僚、上司、近隣住民、とにかく自分とかかわりを持つ人間の二人。
もっといえば二人である必然性もなく、「世の中」という見方でもよいと思う。
しっくりこない部分がいくらかあるだろうが、おおむね解釈可能な文章となる。
祝婚歌というキーワードで検索をすればいくらでも出てくるので、ぜひ読んでいただきたい。
すべての人間を不完全な生き物として捉え、自分を取り巻く世界と緩く付き合いたいたにぐちさんには、とても共感できる詩であった。
共感できることが即ち正しい、ということにはならない。
単に共感できたという事実がただそこにある、ということを自覚しておく必要はある。
また、たにぐちさんのこの考え方には
「世の厄介ごとと関わりたくない」
という後ろ向きの前提がある。
長年評価されてきたこの吉野さんという人は、きっとそうではなかったのだろうなぁ。
この吉野さんという人に感謝するとともに、世の出版社の皆様や文章の保存を生業とする人々はこの詩を末永く後世に伝えていただきたいと思う。
2014年04月11日 12時46分|ブログ|コメント(0)